岡崎中心市街のどまんなか、本町通り。1970〜80年代の市街地再開発事業によってできた大きな商業ビル群のすぐ横には、こうした素朴な風景が横たわっています。この町家、空襲で焼けた後、1950年頃に建築されたものということですが、なかなかの構えです。両隣は鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨造で建て替わっていますが、この町家は、戦前の岡崎の目抜き通りの景観を彷彿とさせるものです。このちょっとした風景が、近世から明治を経て昭和戦前期、そして戦後復興期、高度成長期といった岡崎の都市の移り変わりを、垣間見せてくれるのです。タウン・インベントリーの構想は、こういう何でもない町の時間の証言者たちを、いつくしむように登録していこうというものです。

*町の時間を見つめなおし、そのカケラを登録していく試みです。

*インベントリーとは「目録」とか「台帳」の意味です。国宝みたいな文化財の目録もそうですが、お店で商品を管理することを「インベントリー・コントロール」と言うこともあります。どんなものでも、自分たちの目が届くようにしたい思ったら、インベントリーをつくるんですね。

*だから、どんな町でもインベントリーをつくれるはずです。町にとって、登録したいものがあればよいのです。別に、全国区の文化財を登録しなければならない理由はありません。

*インベントリーをつくるには、しかし、登録するものを発見していかなければなりません。発見を繰り返し、インベントリーをふくらませながら、町を知る。そんな作業を継続していけたらと思います。