別のマチもありえた、かも。・・・ゼミ旅行(20060226-28)その2

2006年03月05日

category= semi

tsukiji.jpgゼミ旅行2日目。ホテルのある晴海から築地まで歩き、初めての築地市場へ。

turret_truck2.jpg歩きはじめてすぐに目に飛び込んで来たのが可愛らしくもカッコいい1人乗りのトラック。

これ、ターレット・トラック ---- 通称「ターレ」と言う。ターレット(turret)というのは戦車や軍艦の砲塔部分のように「旋回するもの」の意。円筒形の本体部に、原動機・駆動装置・前輪・ステアリングがすべてユニット化され、最上部のフラフープみたいなステアリングを両腕で抱え込むようにして回すと、円筒形の動力ユニット全体が回転する。この機構により、車長を半径とする回転が可能な(後輪が軸となる)、超小型のトラックを実現しているのだ。

turret_truck.jpg何百台というターレが次々に目の前を行き交う光景は衝撃的だった。幾度となく立ち止まり、ただターレを眼球だけで追いかけ、口を開けたまま空想にふける。築地市場をひとつのマチ、クニ、あるいは世界だと思えば、ここはわれわれとは別の道筋で発展してきた別の文明世界であるに違いない。「メーベ」という1人乗りグライダーのあるクニはたしか「風の谷」と言った。それならここは何と名付けたらいいだろうか。

風の谷には「メーベ」。魚の市には「ターレ」。えーと、ふざけているわけではありません。ある条件の束が、世界を少しだけつくり変えたのだ、と考えてみることもできるから。

ウェブサイトによると、築地市場の仲卸業者数は850ほど。この部門のターレット数も約800というから、単位の小さい、膨大な数の業者が、それぞれに1台のターレットを持っている見当だ。さらに、生産者・出荷者、卸売業者、仲卸業者、売買参加者、消費者といったものの間でお魚さんのやりとりを想像してみると、錯綜するリゾームになる。こういうところでは、工場のような一元的な輸送体系(ツリー)は成立しえない(工場で活躍するターレもあるが)。それに、積載量が大きく高価なリフトよりも、1人に1台の小さくて安価なターレの方が合理的だろう(1台90万円くらい)。市場の空間は非常に整然としているが、通路(街路)は狭く、いろいろなモノや人であふれかえっていて移動は容易でないし、互いにしょっちゅうぶつかるだろう。ターレの本体動力ユニットが円筒形であるのは、機構上の当然の要請だが、それだけでなくボールのように衝突しあい、はじきあうためでもあろう。

truck.jpgこれが木製の「トラック」。これもまだかなりの数が活躍している。市場内輸送体系という点でみれば、こういう木製荷車からターレへと置き換わってきたのはたぶん事実だろう(正確なところは分かりません)。ちなみにこのターレ、市場内の排ガス問題から、急速に電化が進んでいるらしい(ちょっと前までは全部ガソリンだった)。燃料が違えば、その補給形態も異なる。比較的大きな給油所から、小さくて遍在しうる充電スポットへ。充電したいターレはあちこちのスポットに集まり、いい子でじっと電気がたまるのを待ち、また仕事へと出かけていく。可愛らしいし、世界としての完成度がきわめられていく感じがする。

ターレとは何か。市場という世界のもつ構造と照らしながら研究したら絶対おもしろいだろう。名古屋あたりの市場にもいるかな、ターレ。探してみよう。

最後ですがターレ(ターレット・トラック)をつくっているのは以下の3社。
朝霞製作所/ターレットトラック・・・築地モデルはこの会社がつくっている。
関東農機/マイテーカー
富士重工業株式会社/モートラック

投稿者 aoao