台北の「廻はる家」
2005年06月01日
category= 台湾
白倉 古川君の家の近くぢゃなかったですか、大正街に、移動するやうな家が出来たのは・・・
尾辻 古川君の近くぢぁない、ずっと奥の方□□の傍で、太陽の光線を取り入れる為に回転するのでした。
古川 廻はりましたヨ初めは。終ひには中心が取れないのですね。
畠山 私は学校の先輩ですから時々遊びに行きましたが行く度に玄関が違って居ましたね。
井手 あれは私は一寸面白いと思った、第一期に出来た大正街の住宅地の六條から五條の奥ですね。
白倉 さう云ったやうな廻はる家を建てたの外国にも例があるんだろうか。
井手 外国の病院の日光浴をする小さいのにはある、然しあんな日本造りで堂々たるものが廻はると云ふものはない。
(「改隷以後に於ける建築の変遷(二)」『台湾建築会誌』16-1、1944年 より)
台湾総督府技師たちを集めた座談会で、大正はじめに台北に開発された日本人向け高級住宅地「大正街」のことが回顧されている。台北に勤める総督府技師がたくさん住んでいたところだ。そのひとコマ。これ以上の記録がどこにもないので、この「廻はる家」がどんな姿で、どんな仕組みで廻したのか、何もわかりません。
でも何か、奇妙な現実感がある気がする。なぜだろう。
(注)
白倉=営繕課技師
尾辻=専売局技師(総督府技師中の古参)
古川=営繕課技師・台湾土地建物株式会社(官営ディベロッパー、大正街を開発)建築課長
畠山=営繕課技師
井手=営繕課課長(この大正街に住んでいた)
