環 vol.17 都市とは何か
2004年06月03日
category= books
雑誌『環』vol.17 特集「都市とは何か」藤原書店 2004
藤原書店が出している“学芸総合誌”。雑然たる特集でした。玉石混淆。
面白かったの2つ。
イヴァン・イリイチ「「平和」の贈りもの − ヨーロッパ都市の起源としてのコンスピラチオ」……コンスピラチオは、一般には「共謀」「和合」を指すラテン語だけど、イリイチは初期キリスト教の典礼に由来する本来の語義、「人が互いに息をまぜあわすこと」の意味で使っている。要は口づけ。息とそのニオイをまぜあわせることで魂の合一を肉体的に達成するんだって。イリイチによれば、そうした伝統の上に、ヨーロッパ中世の都市宣誓共同体もあるのだという。なんか、むせかえりそうな濃い話で、仰天です。
橋爪伸也「定義される都市、発見される都市」 …… 真正性を再定義して生き延びるか。新奇な複製環境の発見を重ね続けるか。前者の例は京都。京都は近い将来、千年超の歴史を維持しながら活力を絶やさない世界的モデルになる可能性もあると橋爪はいう。後者の例は台場やら汐留やら東京の「都市再生」。これからの都市は「定義」型と「発見」型に二極分化するかもしれないという指摘。
たしかに全国の都市でその両方が実現しつつあると思うけど、都市というレベルだと、やっぱり京都・金沢とか、東京・福岡とか、かなり限られるような気がします。たいていははるかに局地的。古い町並みの保存地区とか、郊外型ショッピングモールとか。そういうところには人がいて、広大な駐車場があり、その外は誰も歩いてない。ありふれた地方都市にいると、歴史とか真正性とかいう問題に、オルターナティブが必要だということが、切実に感じられます。
