取材10 安城その2 一集落でしかつくられてこなかった麺。
2005年05月27日
category= しゅざい
2本立て安城取材の2つめは、手延べの和泉そうめん。
独特の立地環境による、高い湿気を含んだ夏の風に干すことで、「半生」のやわらかい素麺をつくってきた地域がある。その伝統を受け継ぐ麺店のひとつ、たつみ麺店さんを訪ねた(昼の12:30)。
半生素麺はもともとはこの地域だけだというので、どの地域ですかと聞くと、「まあ、このへんだけです」・・・、このへんって、どのへんですかと重ねて聞けば、「まあ、この町内です」・・・。町内ということは、昔でいえば集落でしょうね。ええっ、その風の条件はそんなにも微妙なものなのですか。

微妙といえばこれも意外に面白い。この写真で、実は麺をかけている両端の竹棒のうち、上の方は正確にいえば固定されていない。天日に干され、縮もうとする麺の力と、それを押し戻そうとするバネの力が釣り合っているのである。環境と麺が作用しあうダイナミックな系のなかで、経験が指し示す釣り合い点がその都度求められ、動いていく。
この町内で、戦前には70軒前後が素麺をつくっていたが、基本的に農家が春・秋の農繁期のあいだ、つまり夏の一番あついときに行う仕事だったという。もともと安城の平野は稲作に適さず、明治用水の建設など、近代の開発によって巨大な農業地帯に変貌してきた。そうした農業の困難ゆえに、麺づくりの技術が伝えられ、独自の製法開発によって半生麺がつくられるようになったのだろう。
戦時中、米の増産政策のなかで麺づくりは圧力を受けて一時的に途絶えたが、戦後復活。現在では10軒ほどだが、大きな企業として大工場を営むものから、夫婦2人だけで細々といったところまであり、専業が多い。
というわけで、凧といい、麺といい、本日のテーマは「風」でした。
投稿者 aoao | コメント (0)
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